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あれこれ・あるがままに(第110回)    平成29年6月25日
                          
  
ジューンブライド 
 先日、知人夫婦の息子さんの結婚式・披露宴に出席した。会場は異国情緒のマリーナシティホテルであった。新郎は、ジジ夫婦がお世話になり長年にわたり親交のあった医師夫婦(第15回:変化)のお孫さんである。以下はその際の祝辞原稿であるが、せっかく準備したので、備忘録として残しておきたい。
 祝辞メモを準備していると、たら婦人から「お父さん、この頃スラスラ言葉が出ないし、飛ばしてしまうことがあるので、メモを見ながらにしたら。」と言われた。確かに、ジジはある程度の準備メモを作成さえすれば、その日の出来事や出席者の言葉を取り入れる形で、自分で言うのもおこがましいが上手に出来てきたのである。しかし、今回はたら婦人の助言に従った。
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<○○○○君結婚披露宴スピーチ>
 ただいまご紹介に預かりました、トップバッター田中昭彦でございます。新郎○○君・新婦○○さん、そしてご両家ご一同様、本日はまことにおめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。・・甚だ簡単ですが、これをもちまして祝辞に代えさせていただきます。・・・・・・・

 皆さん、冗談です。まだ終わりません。新郎新婦はどうぞご着席ください。お見かけどおりの年寄りで、これまでに何度か結婚披露宴に出席させていただき、祝辞やスピーチを耳にしてきましたが、その中で一番短かったのが、先ほどの「これをもちまして」の言葉で本当に終わってしまったという祝辞です。主賓の立場の挨拶でした。会場はしばらく呆気にとられていましたが、やがてその挨拶をされた方のお人柄とユニークさが相まって、場がほぐれ、和気藹々の楽しい祝宴になったということがありました.ので、緊張をほぐしたいというつもりの冗談でしたが、失礼しました。

 先ほどは、○○君から新郎・新婦の丁重なお招きのご挨拶をいただきました。本日、私ども夫婦が本席にお招きいただいたのは、新郎の母方の祖父母「○○○・○○」さんご夫婦との生前のお付き合いがご縁です。○○○先生は医師で、地域で尊敬される赤ヒゲ先生でした。今日出席の小学生の皆さん!本当に赤いヒゲが生えていたんですよ!!!。これも冗談です。○○奥様はゴッドマザーというような方で、たいへん花がある方でした。ご夫婦との付き合いは○○君が生まれるずっと前からの、嬉しいお付き合いでした。
 そのように、私どもは新郎新婦から見れば、「おじいちゃん・おばあちゃん」世代です。新郎の父方のおばあちゃんは「○○○○さん」で、本席にお元気で列席されています。おじいちゃんは「○○○さん」というお名前でした。
 「おじいちゃん・おばあちゃん」世代から申しますと、孫の結婚というのは世代の継承ということで、これほど目出度く嬉しく喜ばしい出来事はありません。本日の結婚のこと、正にジューンブライド、あらためて心からお祝いを申し上げる次第です。

 ところで、新郎○○君はたいへんイケメンで人柄の良い好青年です。実は、私の妻が阪神と同じくらいにたいへんファンです。お二人は数年のお付き合いを経て今日のゴールインになられたとのことですが、新婦○○さんには今日初めてお目にかかりました。たいへんお美しい女性でいらっしゃいます。恐らくお人柄も素敵な方でしょう。本当にお似合いのカップルとお見受けしました。

 さて、新郎新婦は本日より独立の家庭生活が始まる訳ですが、法律の分野には「法は家庭に入らず」という言葉があります。この「法は家庭に入らず」という意味ですが、夫婦や親子という家庭内の間柄は、法律という誰にでも一律に共通するようなルールではなく、二人だけの愛のルール、またはその家庭の価値観に基づいた家庭ルールが先ずは優先するんだ、というような意味です。ですから、家庭内のルールについては原則弁護士はいらないという世界です。愛情表現も個性によっていろいろです。抱きしめ方もキスの仕方もいろいろです。自由です。ほっといて!!です。
 もっとも、この家庭ルールは、お互いの個性を尊重し合ったうえの、よき妥協ということでなければなりません。ここが大事です。いくら自由であっても、相手の人格を認める、尊重し合うということでなければなりません。「愛」という字の真ん中は「心」という字です。相手の心を大事にしましょう。あなた方夫婦も、早くお二人だけに共通する愛情ルール・家庭ルールを築かれ、信頼と愛あふれる夫婦生活を楽しんでもらいたいと思います。
 本日はおめでとう。これをもちまして、本当の本当に、祝辞に代えさせていただきます。