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あれこれ・あるがままに(第48回)    平成24年5月23日

  
世 相 雑 感
 

 今、日本丸の状況は、消費税問題、電力問題、原発問題、沖縄の基地問題等数々の難問が山積し、右に左にと揺れ動いてなかなか前に進めない状態が続いているように思う。以下、ジジの簡単な時事コメント。


<オザワ!オザワ!>
 昔々、下の娘が3才の頃の昭和51年頃のこと、テレビの前で独り言のように「コーチャン!コーチャン!うーさいなー」と言ったことがある。当時、テレビニュースは繰り返し田中角栄氏事件について「コーチャン証言」「クラッター証言」のことが取り上げられ、3才の娘の耳には幼児番組の心地よさと違い意味が分からない雑音に聞こえたのであろう。
 現在、時事ニュースになると「オザワ!オザワ!」の言葉が繰り返されているが、「政治とカネ」という意味では同質の問題であり、刑事事件では両者とも無罪を争った。田中角栄氏の刑事裁判の方は、一審有罪、控訴審継続中に田中氏死亡により公訴取り消しで終了、小沢一郎氏の刑事裁判は一審無罪、現在控訴審継続中である。


 両刑事事件で特徴的なことは、両事件とも検察庁特捜部が作成した調書等の証拠価値が問題になったが、裁判所は田中角栄氏事件では(確かなことまで知らないが)検察官提出証拠の殆どを証拠として採用し、小沢一郎氏事件の方は特捜検事が作成した検事調書の多くを採用しなかった。この裁判所の判断の違いが両事件の一審判決の結論の違いとして現れたが、ジジの独断的見解では裁判所の検察に対する信頼が時の世相を背景に違っていたように思う。
 すなわち、田中角栄氏事件当時は、裁判所は検察が提出した証拠に絶対的な信頼を寄せていた世相傾向であり、小沢一郎氏事件では特捜部検事の刑事事件(郵便不正事件における特捜検事の証拠改竄事件)にまで発展した強引な特捜捜査の実態が明らかになったことから検察に対する信頼が失墜するという世相傾向にあった。
 それにしても両者に共通するのは刑事被告人としての恐怖と心労であろう。田中角栄氏は晩年顔面神経麻痺を発症したのは公知のことであるが、かく述べるジジは田中びいき、小沢ぎらいである。


<セツデン!セツデン!>
 5月6日以降の原発稼働ゼロという状況下で、国と電力会社は電力不足を訴えて「節電!節電!」と上記娘の口を借りれば「うーさい」ほどであり、節電が必要でない今の時期まで官公庁の廊下は薄暗くうっとうしい。停電という事態は国民生活と企業活動に重大な影響を及ぼす事態であるが、ジジの偏見的見方では、国と電力会社の「節電」の取りあげ方は原発再稼働容認の世論操作ではないかと勘ぐるのである。


 すなわち、発電と電力供給の関係は「いくら節電しても余った分を蓄電しておけない、後の不足時間帯に回せない」、言い換えれば「需要が発電可能容量の範囲内である時間帯ではいくら節電しても電力不足を補うことにつながらない」という仕組みなのである。電力不足と節電の問題は、この仕組みを周知させた上で、「どの期間のどの時間帯が発電能力を超える可能性があるか」という予測を前提として問題としなければならないのに、国と電力会社、特に国の姿勢は、この前提の問題をほとんど前面に出さず、「この夏は原発が止まったので電力が不足しますよ!節電して下さいよ!停電になれば生活も企業活動も大きな影響がありますよ!辛抱してくださいよ!」という取りあげ方が前面に出過ぎているように思う。


 電力不足の期間と時間帯を予測して行う節電方式のことは「ピーク時節電」といわれている。しかし、この節電方式はきめ細かな予測と利用者の理解が不可欠であり、他人指向型が支配的な国民大衆との関係では効果を出すことが難しい方式である。
 このようなことから、国の姿勢は、節電を原発稼働の必要性に繋げるためにあえて難しい説明抜きにして、「節電!辛抱!嫌なら原発稼働容認!」というのが本音であろう、これがジジのうがった見方なのである。かく述べるジジは節電は反対ではないが、原発再稼働絶対反対の立場である。


 国の対応に関するジジの見方が全くうがったものでないことは、最近の朝日新聞記事の見出しからも推測できるのではないか。
 5/18 『電力切迫なら国が警告』
 5/19 『節電号令 透ける再稼働』
 なお、関電の次の見出しの対応は「ピーク時節電」を基にした対応である。
 5/22 『関電メリハリ料金』

 
 追伸 原稿アップ後たら婦人が目を通して曰く、「原発を再稼働しない」という前提ならば、「どんな節電要請でも辛抱できるし、必要ならばコスト抜きで家庭用ソーラ発電にも協力するのにね!」、「病院や企業の自家発電設備のため利用料や製品代金が多少上がっても仕方がないし」、「電力会社がエコ発電設備に投資をして電気代に跳ね返っても、孫子のことを考えると仕方がないと思うわ!」。ジジも賛成。