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あれこれ・あるがままに(第38回)    平成23年7月5日

  
もう年や・・・」「まだまだ・・・」
 毎日新聞・夕刊・金曜日の読み物に、<新幸福論・生き方再発見>というコーナーがある。毎週、各ジャンルで活躍中または活躍してきた人物を登場させ、人生観を語らせる企画であるが、去る6月17日(金)は漫画家松本零士氏が登場した。<「好き」を貫く>という標題であったが、話の内容に最近のジジの気持ちと重なる一節があったので紹介したい。


 まつもと・れいじ 
 1938年1月、福岡県久留米市生まれ。漫画家。代表作に「男おいどん」「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」など。日本宇宙少年団理事長


 問いかけ 『今の若者にも期待したいですか。』
 松 本   『自分の世代でかなわなかった夢は、次の若い世代に引き継がれます。志も受け継がれます。人間は有史以来、ずっとこれを続けてきた。若者はみんな志を持っていると信じています。
 ただうらやましいと思うのは、若者には人生の残り時間がたっぷりある。時間という宝物を持ち、無限の可能性と同居している。年齢を重ねるとわかりますが、残り時間がどうしても頭に浮かびます。
 それにしても今回の震災では、若い世代がたくさん亡くなりました。無限の可能性を持っていたのに。突然命を失うなんて夢にも思わなかったでしょうね。世の中を変える可能性を待った人が多くいたはずなのに。さぞ無念だったろうと思います。
 大人が一言でも励ましてやると、若者は生涯覚えているものです。だから若者には「今日がどんなにつらくても頑張れよ。生きろよ」と言いたい。最近は「頑張れ」と言ってはいけないそうですね。一種の励ましなのに、どこが悪いんでしょうかね。』


 ジジは、松本氏より少し年下の1943年4月生まれ。氏と同様「残り時間が頭に浮かぶ」世代であり、この点では氏と同じ人生観である。
 ところで、今とこれから先のことについては、ジジはたら婦人に「もう年や・・・」の言を口癖のように吐いているが、氏は次の一節で「まだまだ・・・」という気持を述べられている。この点はジジとは違うようだ。


 問いかけ 『まだまだ意欲がいっぱいですね。』
 松 本   『 やはり仕事をしているときが幸せなんですよね。漫画と映像製作の両方を続けています。』


 ジジと氏との違いは何だろうか?
 それはもちろん人生観・世界観によるのであろうが、その基礎になった来し方の仕事の内容、生き様、そして、体力の自信ということが大きいと思うのである。
 ジジの仕事の弁護士家業というのは、健康で、清く、正しく、明るい未来という範囲の出来事が対象になることが少なく、大方が、取引や金銭上のトラブル、経営の行き詰まり、離婚・相続のトラブル、それに犯罪というような、そのどれもが経済的、家庭的、または社会的な病理現象から生じた出来事が対象であり、そして、紛争当事者は合理的な世界観による行動パタンの人は少なく、物欲や憎悪が渦巻く行動パタンの人が多いのが実情の世界である。そして、ジジは長らくの糖尿病持ちである。
 このような実情においては、とても氏のように<仕事をしているときが幸せ>という心境には至らない。ジジの現状では<仕事を続けられていることが幸せ>というところであろうか。
 七夕の願いごとは、この先「もう年や・・・」から仕事中心の生活ではなく、趣味の時間にゆとりを持てる生活に変えて行きたい、ということ。