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あれこれ・あるがままに(第142回)    令和2年2月25日
                          
  
梅は咲いたか
♪ 梅開花
 庭に枝垂れ梅一樹。2020年2月2日の日曜日は寒い一日であったが、梅一輪一輪・・・ほどの開花が見られた。35年あまり前成木を庭に移植、毎年花の少ない時期に美しい花をつけてきた。

♪ 梅一輪 一輪ほどの 暖かさ
 この時期、ジジの頭にみだしの俳句が浮かぶ。作者は松尾芭蕉の弟子である服部嵐雪(江戸前・中期)であるという。
 句の詠み方により少しニュアンスが違う解釈になる。
 まず、上五(かみご)、中七(なかしち)、下五(しもご)と、俳句の構造のとおり全部に間をつけ「梅一輪 一輪ほどの 暖かさ」という読み方。このように読むと、「梅が一輪咲いている。それを見ると、一輪ほどのかすかな暖かさが感じられる。」という意味になる。
 また、間を置く位置を変えて「梅一輪一輪 ほどの 暖かさ」という読み方。この読み方をすると、一輪一輪と動きが感じられ、「梅の花が一輪咲くごとに、少しずつ暖かくなっている。」という意味になる。
 どちらでも良いと思うが、ジジの感性は前者派。

♪ 歴日の表示順
 ところで、冒頭の2月2日をイギリス英語表記にすると 02/02/2020 と前から読んでも後ろから読んでも同じ数字が並ぶ珍しい日。
 西暦と月、日の表記の仕方は国により順番が違う。同じ英語の表記でもアメリカとイギリスでは違うとのこと(Wikipedia )。上記の2020年2月2日と原稿アップの2020年2月25日を各国の表記順で表すと次のとおり。
       <表記順>    <2月2日>      <2月25日>
 日 本   (年月日)   2020/02/02    2020/02/25
 アメリカ  (月日年)    02/02/2020    02/25/2020
 イギリス  (日月年)   02/02/2020    25/02/2020
   ※2月2日はアメリカとイギリスでは月日の順番は違うが表記はたまたま同じ

 日本と同じ表記順の国 : 中国、台湾、韓国、ブータン、モンゴル、イラン、ハンガリー、リトアニア
 アメリカと同じ表記順の国 : ミクロネシア、マーシャル諸島
 イギリスと同じ表記順の国 : ヨーロッパの大半(ロシア含む)、中央・東南・西アジア、オセアニア、中南米

♪ 梅は咲いたか、桜はまだかいな
 この時期、もう一つジジの頭に浮かぶのはジャンル変わってお座敷唄(端唄・小唄)。お座敷唄に出合ったのはジジ大学生当時。その訳は後ほど。
 第1段 梅は咲いたか 桜はまだかいな
      柳ャなよなよ風次第
      山吹や浮気で 色ばっかり
      しょんがいな
 第2段 浅蜊とれたか 蛤ャまだかいな
      鮑くよくよ片想い
      さざえは悋気(りんき)で角(つの)ばっかり
      しょんがいな
 第3段 柳橋から小船を急がせ
      舟はゆらゆら波しだい
      舟から上がって土手八丁
      吉原へご案内

 第1段の歌詞の意味は童謡風に言葉の表面だけを追うと、梅、桜、柳、山吹の春から初夏への樹木をとらえてその色あいや枝ぶりなどを面白く自然のまま表したものである。これでは小学唱歌である。
 しかし、この唄が歌われるのは、酒席のお座敷遊びの場、芸妓の姐さん方と三味線や太鼓で艶っぽく賑やかに!という場である。歌詞がそのような表面だけの小学唱歌であるはずがない。これでは面白くない。
 ここは歌詞の裏面が本意。梅・桜・柳・山吹は座敷に登場する花柳界の芸妓たちを暗示したもの。「梅」は初々しい若い芸妓、「桜」は上のあでやかな姐さんといったところだろうか。「柳」はゆらゆらと移り気の芸妓、「山吹」は色っぽくヤマブキ色のお金好きで浮気性の実を結ばない芸妓。このように理解すると面白い。ジジの好みは山吹か。
 第2段の「貝」も裏面の本意があるが、ご想像にまかせたい!。
 
♪ 初めてのお座敷唄との出合い
 ジジが上記のようなお座敷唄に出合ったのはジジ大学生当時と書いた。場所は料亭ではなく、大阪市内、長居競技場近くの普通の一般民家。唄い手は60才過ぎの女性で、普段も着物姿で通し、長めの黒髪をうしろで上に結い上げた和風髪型の粋な雰囲気の人。その婦人の三味線抱いての弾き語りであった。それもそのはず、婦人は昔芸者で出ていたとのことであった。

 実は、その婦人宅の一間を半年ほど間借りしたことがある。賄いは遠慮していたのであったが、ある日の宵闇迫る頃「にいちゃん、珍しくもないけど粕汁こしらえたので、こっちで一杯やらんかえ。」と声がかかったことがある。一杯が二杯になり、婦人も手酌で一杯二杯の上機嫌。そのうち、「にいちゃん、そこの三味線とって。」という道行きからチトンシャンと弾き語りのはじまりチトンシャン、しょんがいな、という次第。このような出来事は間借りの間に何度かあった。
 この家の家人は、婦人と夫、夫の甥御というジジと同年代の居候、夫という方は二号宅と行ったり来たりで、ジジは数回しか顔を合わせたことがなかった。

 弾き語りでは他にも次のような唄も出ていたが、歌詞はエロチック風にアレンジした替え歌、ここで公開するのは憚りたい。この情景は半世紀以上も前の、ジジ若かりし頃の思い出、いや懐かしいこと!!!。
(なにをかくそう粕汁という食い物は婦人の手料理が初めて!、初めて口にしたが以後ジジ好みの一品となった。ジジが育った紀北地方農家では魚料理といえば塩鯖の焼き物が毎度の定番おかず。これも美味しかった。)

 春の段 春はうれしや 二人揃うて花見の酒 庭の桜に朧月
      それを邪魔する雨と風 チョイト 散らして また咲かす
 夏の段 夏はうれしや 二人揃うて鳴海の浴衣 団扇片手に 橋の上
      雲が悋気して 月隠す チョイト 蛍が身を焦がす
 秋の段 秋はうれしや 二人並んで月見の窓 色々話を 菊の花
      しかとわからぬ 主の胸 チョイト 私の気を 紅葉
 冬の段 冬はうれしや 二人揃うて雪見の酒 苦労知らずの銀世界
      話も積もれば 雪も積む チョイト 解けます置き炬燵