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あれこれ・あるがままに(第137回)    令和元年9月25日
                          
  
仄  仄
 はじめに  標題の「仄仄」という漢字を目にしたことがありますか?ジジは、「仄聞(そくぶん)」という漢字は(誰から聞いたとはっきり言えないようなとき)時々使いますが、「仄仄」という漢字はこれまで使ったことがなかったので、その漢字をネタにしたサイトに興味を持った。主婦の友社運営のWEBメディア「OTONA SARONE」というサイトである。
 以下、記事を抜粋しながら引用して備忘録としておきたい。

 ネタにしていた漢字は次のとおり(全部ではない)。
「仄仄(ほのぼの)」、「点点(ぼちぼち)」、「嫋やか(たおやか)」、「序でに(ついでに)」、「転た寝(うたたね)」、「只管(ひたすら)」、「屯する(たむろする)」、「詳らか(つまびらか)」、「二進も三進も(にっちもさっちも)」、「素見し(ひやかし)」、「口遊む(くちずさむ)」、「生抜き(はえぬき)」等
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 サイトの序文
 「序に」は「じょに」ではありません!みんなが読み間違えやすい日本語・・是非参考にしてみてくださいね!
 解説記事
① 仄仄
 「ほのぼの」です。
 「仄仄」には
 [副](スル)
 1 かすかに明るくなるさま
 2 ほんのり心の暖かさなどが感じられるさま
 3 わずかに聞いたり知ったりするさま
 [名]夜明け方。

② 点点
 「ぼちぼち」です。
 「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」といった台詞を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。この「ぼちぼち」が「点点」です。
  なお、「ぼちぼち」の意味は、
 1 ゆっくり物事にとりかかるさま。また、ある事態に近づくさま。そろそろ
 2 水滴などが続けて落ちる音や、そのさまを表す語
 3 小さなものが散らばってあるさま
 4 小声で話すさま。特に、男女が仲むつまじく話すさま

③ 嫋やか
 「たおやか」です。
 「女」偏に「弱」と書く漢字ですが、決して「弱=弱い」という意味ではありません。この「弱」は「美しくしなる弓」を表しています。すなわち、「美しくしなやか=たおやか」ということ。

④ 序に
  「ついでに」です。
  なお「序に」と聞いたとき、その意味を「一緒に」「おまけに」という風に捉 えていませんか?実際の「序に」の意味は、ある物事をするときに、その機会 を利用して別の物事をするさまを表わす。ちょうど良いその機会に。そのおり にいっしょにつづけて。ついでがてら。
  「おまけに」という意味合いではなく、「続いて」「ほどなく」「間もなく」 という意味なんですよね。

⑤ 転寝
  正解は「うたたね」です。
  他に、ごろね、ころびね、と読むことも。
  意味を調べてみると、[うたたね]:眠るつもりもないまま、うとうとと眠  ること。仮寝
  ごろね:寝るしたくをしないで、そのまま横になって寝ること。ころびね

⑥ 只管
  「ひたすら」です。漢字からは想像しにくい読み方だったのではないでしょう か。
  「只管」は、鎌倉時代に道元という人物が宋(そう)から日本に伝えた禅宗の一 派・曹洞宗の教えから来ている言葉です。道元は禅の修行を行う中で「心身脱 落」の境地に達しました。自我がある状態から無我の状態になったのです。こ の無我の状態こそが道元の禅の教えです。

⑦ 屯する
  「たむろする」です。
  1 一つ所に大ぜいの人が集まる。
  2 兵隊が群れ集まる。
  なお「屯田兵」の「屯」の読みで、「とんする」と読んでも間違いではありま せん。

⑧ 詳らか
  「つまびらか」です。
  くわしいさま。物事の細かいところまではっきりしているさま。という意味があります。
  なお「詳らか」は「つばひらか」と読むこともできます。「つまびらか」という読み方は、「つばひらか」という音が変化したもの。古くは「つまひらか」 と読まれていました。いずれの読み方でも「詳しい様子」「事細かな様子」を  意味します。「審」という漢字を用いた場合も、同じく「審らか(つまびらか・つばひらか)」と読みます。

⑨ 二進も三進も
  「にっちもさっちも」です。
  「進」という漢字から「二歩も三歩も進めない状態」を表しているようにも見えますが、「二進も三進も」の語源はそろばん用語の「二進(にしん)」「三進(さんしん)」です。
  「二進(にしん)」「三進(さんしん)」とは、
  ・ 二進 2割る2
  ・ 三進 3割る3
 のこと。すなわち「割り切れる」ことを表す用語です。
 そろばんで、2や3で割り切れないことを「二進も三進も行かない」と表現するようになりました。「計算が合わないこと」を表すようになったこの言葉は、いつしか「2でも3でも割り切れない=勘定が合わない」というこ  とも表すようになります。

⑩ 素見し
  「ひやかし」です。
   現代では「冷やかし」という書き方が定番かもしれませんが「素見し」で「ひやかし」と読みます。「素見」とは「素見物」という言葉を略したもの。
  遊女や物をただ見るだけで買わないこと。また、その人。ひやかし。そけん。

⑪ 口遊む
  「くちずさむ」です。
  「口遊む」の意味は、
  1 詩や歌などを思いつくままに口にしたり歌ったりする
  2 うわさをする
  です。“思いつくままに口にしたり歌ったりする”姿に、「口」が「遊ぶ」雰  囲気がありますよね。
   昔は「口遊(くちずさび)」「くちずさみ」などと呼ばれていました。「口遊」という名詞であっても、意味は「口遊む」とほとんど変わりません。
  ① 詩歌などを思い浮かぶままに朗詠すること。また現代では、なんとなく声を出して歌ったりすることをもいう。口ずさび。
  ② いつも繰り返して口にされる歌やことば。口ぐせ。口ずさび。
  ③ 多くの人が繰り返し口にすること、また、その話の種。うわさをすること。うわさ話。口ずさび。

⑫ 生抜き
  「はえぬき」です。
   紹介した意味にもあるように、元々は「その土地で生まれてずっとそこで  成長したこと」を表します。それがいつしか「会社や学校などで始めから通勤・通学している人」を指すようになりました。
   また「生抜き」を「いきぬき」と読んだ人もいるかもしれません。その読み方も1つの正解です。「生抜き」の「生」を「いき」と読む場合には、「生き抜く・生抜く」が正しい言い方です。「生抜く」は困難や苦しみを克服して生き続ける。生き通す。を意味します。
   読み方1つで意味がガラッと変わってしまうので、「生抜き」という漢字に遭遇したら、前後の文章から意味を読み取れるといいですね。
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 あとがき  世に難解漢字は多数あるが、中でも、昆虫や植物の名前に多い。例えば、蜻蛉(かげろう)、無花果(いちじく)などである。
 ところで、上記の言葉は、いずれも話し言葉で使われる最小単位の副詞または名詞として使われるが、いずれも漢字が伝わる前の万葉集の時代から使われていた言葉であろうと思う。そうすると、漢字が伝わってから、「ほのぼの」を漢字の「仄仄」とし、「ぼちぼち」を「点点」と当てたのは、漢字の意味からしても正にぴったしではないか。なんと高度で味のある日本語文化であることよ!!!。