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あれこれ・あるがままに(第101回)    平成28年9月22日
                          
  
水・制御の難しさ
 水のトラブルはその状況を肌身で経験した者でないと、補修の困難さや深刻さを理解しにくい出来事である。ジジは、以前、庭のメダカ池工事で漏水に苦労したことがある。どこからどうして漏れるのか、「目にはさやかに見えねども」の、厄介な問題であった。 
 水は方円に従い、高いところから低いところへ流れ、どんな小さな穴でも漏水する。こんなことは頭で十分理解したうえで作業をするので、水が漏れるはずがないと思って工事を完了する。しかし一晩たつと水位が下がっている。これは衝撃であった。それでも気を取り直し考えられる箇所の補修をしたのに、その翌日にまた水位が低下しているのを目にすると途方に暮れ、絶望感にとらわれるという出来事を経験した。ジジはこの経験により漏水補修の困難さを脳にすり込まれた。
 水対策は「このように対処すればよい」と頭で考えた知恵では予期しないトラブルが起こるものである。ジジは、水制御は「人智を越える」という深刻さを頭に置いて対処しないと失敗すると言いたい。水制御の対策は算数で割り切れないところの哲学的思考が必要であると思うのである。水制御はそれだけ難しい問題である。
 今回扱う漏水問題は庭のメダカ池工事などとと比ぶべくもない巨大事業であり、ジジの経験と大きく次元の異なる問題であるが、しかし水問題を考える心構えとして参考のため前置きした。

 福島原発の汚染水対策
 東電福島事故原発の最終的廃炉まで、いったいどのくらいの期間と費用が必要なのか。数万年単位の期間と天文学的数字の費用であろうと思われる。
 福島の廃炉の行程は「入り口の戸を開けようとする段階」だと思うが、早くも水処理の困難さに関し、9月7日の朝日新聞に次のような記事が出ていた。
 『東京電力福島第1原発事故の発生からまもなく5年半経過するが、政府や東電の汚染水対策が足踏みしている。地中に「氷の壁」を造り、地下水流入を防ぐ「凍土遮水壁」(全長約1.5㌔)は効果が表れず、放射性のトリチウムが残る処理水の行き先も宙にに浮いている。政府は東京五輪イヤーの2020年中に、原子炉建屋内の汚染水処理を完了させる方針だが、黄信号が点滅している。』
 ジジは、黄点滅ではなく赤点滅の事態であると思う。東電は「凍土遮水壁」作戦を汚染水対策の切り札と位置付けているようであるが、甘い!!!のではないか。
 続いて『先月時点で海側は99%、山側は91%凍結したとしている。しかし、凍結を開始して5ヶ月が経過しても汚染水の発生量はほとんど変わらないまま。』という記事。
 漏水の制御は、「90%の対策が終わったから、漏水が90%減る」とい関係にはならない。結果が全て!アリの一穴を残しては制御にならない。

 豊洲市場移転問題
 この問題は、小池東京都知事が就任直後に豊洲市場移転延期を正式発表し、延期の理由について「安全性への懸念、巨額で不透明な事業予算、情報公開の不足の三つの疑問がある」と述べたが、その後マスコミでは連日この問題を取りあげ、けんけんがくがくである。その後、建物下部にコンクリート製の広大な空間が存在することが明らかになり、加えて底部床面に原因不明の水が数センチから深いところではそれ以上に水が溜まっていることが明らかになったことから、更にけんけんがくがくである。
 ここへきて、問題は汚染水という水問題にも発展しているのでコメントしょうと思ったが、現時点では果たしてどのような展開になるのか見通せないので次の機会に譲ることとし、ここでは小池新知事が水制御の深刻さを意識して対処されることを希望し、エールを送るだけにしたい。

 復興政務官のおんぶ事件
 台風10号で被災された北海道・岩手県の被災者の方々に、心からお見舞い申し上げます。
 さて、「治水」は国の重要課題であるが、この度の被災に関し、岩手県を訪れた務台俊介内閣府政務官が職員に背負われて水たまりを渡った問題である。この写真が報道されるやネットやマスコミで大きな批判が巻き起こった。日刊ゲンダイに『被災地が激怒 “おんぶ事件”務台政務官はKY行動(空気を読めない行動)の常習犯』、『関係者からは「態度がでかく“キング・オブ・官僚”(キング・オブ・〇〇⇒最強の〇〇)みたいな人物」と評されているという。』という記事が出ていた(ネット情報)。
 あの態度の写真をを見ると“さもありなん”と言わざるを得ない。その後、「猛省している」とコメントしているが、官房長官談話によると松本純防災担当相が2日に本人に厳重注意で済ましたとのこと。会議で居眠り をしたので「不敬罪」だとして公開処刑するような無茶苦茶な国家もあるのに、平和国家でよかった。同政務官におかれては、この国の役人であったからこそ命だけは助かったと猛省し、当分の間議員報酬を辞退して職務に精励すべきであろう。

 朝日新聞9月14日・12面から
 朝日川柳   本性は おんぶに抱っこの 政務官  (福岡 河原公輔)
 かたえくぼ  豊洲 施設地下に水たまり 誰かおんぶして-市場関係者  (大阪・還暦男子)  

 ネットの写真から(播磨谷拓巳 BuzzFeed Staff, Japan)
おんぶの光景
 
 

岩手県の被災状況