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     あれこれ・あるがままに(第1回) 平成18年12月10日


              (写真 今年もユリカモメが渡ってきた)

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                   コラム欄「あれこれ・あるがままに」の開設
 
 聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が、朝日新聞土曜版に「95歳・私の証 あ

るがまま行く」というエッセーを連載されている。たしか「91歳・私の証・・・」という表題から

始まった筈で、もうかれこれ4年にもなると思う。その内容は日常活動等多岐にわたりいつも

畏敬するばかりであるが、ときどき「あー!日野原さんも同じお考えなのか」ということで、自

分の考えに権威付けが得られたような気がし、自信を持つことがある。例えば、最近のこと

では、「皇室典範改正論」を目にしたときであった。

 それは、秋篠宮ご夫妻に男子が誕生した間もなくの時期に(掲載日H18,9,23)、政府

が女系天皇を容認する皇室典範改正案の国会提出を見送ったことについて見解を述べた

ものである。冒頭で「国民にとって、久しぶりに明るいニュースでした。日本は今なお皇室の

行事を大切にする国家なのだということがしみじみ感じられました。」との気持ちを述べ、そ

のうえで今回の皇室典範改正案の実現は、日本における男女差別解消という点で「光と

希望を投じる良き機会」をもたらすもの、という価値観を開陳されている。同感である。


 以下、そのエキス部分を下記に抜粋して紹介したい。

 「世界の文化国家の歴史を見ると、女性に対する差別はかなりな速度で改善されつつあ

ります。日本は欧米に比べて、文化や教育のレベルは同水準と自任しているにもかかわ

らず、男女差別は明白に存続しているようです。

 日本では、女性が男性同様に社会進出することに抵抗感を抱く風潮はいいまだに根強く

残っているのが現実です。女性のもつ英知、判断力、実行力が正しく評価される日はなか

なかやってきません。

 女性は次の時代の子どもを産むという大切な使命を担っていますが、それを仕事と両立さ

せることは日本の社会ではまだまだ難しいのです。

 今ここで、皇室典範改正を断念するのは、非常に残念だと思います。皇位継承の順位決

定における性差別を徹底的に排除することは、男女差別廃止の立ち遅れた日本において

どんなにか重要な意味をもつことでしょう。」

 先生のヒューマニズム精神の真骨頂である。


 このコラム欄は、上記のように、管理人があれこれと折に触れて思う事柄を記事にして掲

載する予定であるが、表題を単に「随想」とするのでは面白くない。先生のヒューマニズムと

ご長寿にあやかることができればと思い、「あるがままに」のワンフレーズをいただいた次第

である。