和歌山弁護士会小史   平成19年3月26日


               無       題
   
   結婚37年、糟糠の妻紀代子は言う。「今回は前2回の『万億光年の宇宙に在り 花

  鳥風月を友 酒を友 人生 愛と出合いを大切にし 生かされるままに生く 色即是空

  昭彦』を離れて、賢いことを書いたらどう?」と。互いに還暦を過ぎ、なお相手の可能

  性を見るのは新鮮と言うべきか!あきらめが悪いと言うべきか!

   この10年で ”お父さん”から ”おじいちゃん”に変わった。今、長女は子供が二人、

  次女の方は一人。孫が増えたが、己が身は体力が減少、ネオン川への出動も大幅減

  少傾向、最近の興味はデジタルカメラに移る。事務所ホームページのリンク先サイトに

  「庭の花おりおり」を開設し、毎月の更新を楽しんでいる。とは言っても、思考回路は依

  然としてアナログ回線のままである。


   取り調べの可視化について一言。現在、KS・PSともパソコンの日本語入力ツール

  で作成されているが、以前の警察官調書は、取調官が被疑者それぞれの表現によ

  る説明を聴取し、自分が持つ日本語の語彙に当てはめて手書きで作成していた。

  調書は、字が読みにくいという面はあったが、取調官と被疑者両方の個性が読み取

  りやすく、真実が述べられているか判断がしやすかったように思う。ところが、最近の

  パソコン調書は量が多いうえ、フィクションかノンフィクション劇場か見分けがつきに
  
  くいものがある。

   最近、女性保険外務員による保険金横領事件を担当した。被疑事実に争いがない

  告訴事件であり、取り調べは女性警察官が担当した。被疑者の女性のことは以前か

  ら少し知っていたので、動機は借金苦・生活苦だろうと思っていたが調書を見て驚い

  た。調書は分厚く、14,5年前のことから説き起こされ、「私はお金があったら湯水の

  ように使ってしまう、お金にルーズな女」という内容が延々面々と綴られていたのであ

  る。聞くと、取調官は殆どパソコンに向かっていて、「あんた、そこでゆっくり座っといて

  ー」「湯水のようにって、そんなん違いますけど」「表現したらこうなるのよ」、被疑者は

  「文章お上手ですね」と諦めの皮肉を言ったという。

   裁判の方は、被害額が多く実刑事案であったが、動機の信用性等諸般の事情が考

  慮され、懲役3年・執行猶予5年・保護観察付き、かろうじて塀の外。取り調べの可視

  化は自白強制型だけでなく、パソコン創作作文形調書のチェックにも必要か!