週刊報道ワカヤマ Y03(2005年3月4日)                              


       時   事   折   々 (第1回)                    
 
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 震災の被害予想映像を市民に配布しては!?
                                   
                        (表題 編集人藤原無我氏)


            時 事 折 々   弁護士  田 中 昭 彦
 
 地震、雷、火事、親父。故事ことわざ辞典によると、「世の中の人が日ごろ恐れているも

のを、恐ろしさの順に並べたことば」とある。むかしむかし、父親のことを一ばん恐ろしい

と思っていたかわいい少年時代(もあった)、右の順番は恐いものに向かう順と誤解して

いた。しかし、地震が一番ということは、平成7年の阪神淡路大震災、それに昨年の新

潟県中越地震とスマトラ沖大地震のもの凄さで思い知った。前二者は大地を揺るがす大

地震、後者はインド洋湾岸諸国への大津波であった。地震に関連して雑感を二つ。
 
 新潟県中越地震で発生した道路崩落現場生き埋め事故の悲惨な光景、昨秋の台風2

3号がもたらした豊岡市の円山川堤防決壊による大水害等大きな自然災害を目にする

と、公共事業の必要性と防災工事の限界ということを考えさせられる。その大水害の前こ

ろであったと思うが、高名な政治評論家森田実氏の著作「公共事業必要論」という本の出

版記念パーティーが和歌山市内で開かれたとの地方紙の記事が目に止まった。読んで

みたところ、その地方紙の「観光立国に向けた『景観形成事業推進費』として二百億円の

公共事業調整費を新たに創設した。」という県選出代議士の談話記事を引用し、自論の

裏付けとするように言及していた。市内での出版記念パーティー開催の所以となったので

あろう。
 
 なお、本の内容は小泉首相の財政構造改革に対する批判を基礎とするもので同調でき

る部分は少なかった。その立論に対する「公共事業不要論」ということはあり得ない理論

であり、公共事業に異を唱える人が言いたいことは不要不急の公共工事が多すぎはしな

いか、ということであると思う。ここのチェックがこの問題の大事なところである。 

 もう一つ大津波について。
 
 このほど、和歌山市から平成17年度の当初予算案が発表された。新聞記事による

と、四年連続で「緊縮型」とあるが、大津波が予想される東南海・南海地震対策として1

2億5、639万円が計上されている。厳しい財政状況の中の重点配分であり、市民に

プラスの予算編成であると思う。中味として、小中学校の耐震工事・市南部の沿岸地帯

に津波監視カメラ3台の設置・新消防庁舎内に「災害体験シアター」の設置等と説明さ

れている。
 
 地震対策として、学者と地元編機メーカーのコンピューターグラフィック技術の共同開発

により、海上でM7クラスの地震が発生した場合の津波の伝わり方、和歌川や津屋川を

突進して行く様子、海水が堤防を超え建物に襲いかかる様子、などを映像化し、右の体

験シアターで映写するほか、ビデオとCDにして市民に有料頒布してはどうか。実際の建

物が識別できるほどのリアルなものがよいと思うが、どうであろうか。